店名の由来
── 栗原coffee(クリハラコーヒー)の由来をお聞かせください。
栗原健(以降「店主」):これは・・・!
栗原梨佐(以降「栗嫁」):栗原なので・・・!
店主:栗原なのでわかりやすく、栗原さん家のコーヒー店で「栗原coffee」としました。
コンセプト
── お店のコンセプトをお聞かせください。
店主:「自家焙煎のこだわりコーヒー」です。
── こだわりの指標の一つとして、ご夫婦でQグレーダーを取得されたとお聞きしました。
店主:ただ脱サラしてコーヒー屋を始めましただとよくある話じゃないですか。ちゃんとした資格を取って鑑定を実際にやっているという証明のために取得しました。Qグレーダーの資格所有ということでいらっしゃるお客様もいます。
── Qグレーダーの資格についてお聞かせください。
栗嫁:一般で幅広く認知されているマイスターとインストラクターは一般的なコーヒーの知識がありますという日本の筆記資格なんです。Qグレーダーは全くの別物で国際コーヒー鑑定士なので生の豆から選定して味をみて点数をつけるという資格です。
店主:資格を取得すれば他のコーヒー屋さんとの差別化になるかなと。
栗嫁:資格を取って終わりではなく、農園さんや商社さんから依頼を受けて豆に点数をつけるというのがQグレーダーの役割です。
── Qグレーダー取得の経緯をお聞かせください。
栗嫁:いつかはQグレーダーを取得したいとずっと思っていました。だけど難しい試験で費用も25万と高額なため簡単には取れないので、まだ自分はそのレベルに達していないと思っていたところコーヒーマイスターとコーヒーインストラクター2級を取得後にやっぱり受けたいと思い、夫に話しました。そうしたら俺が受けてくる、と。
店主:マイスターとかはメジャーすぎて一人持っていればいいと思っていました。Qグレーダーは国際認定のその業界では通じる資格なので説得力が出るかなと考え、どうせならと思いました。取得にあたってスキル・知識の向上、横の繋がりが増えました。この資格を持っていますとちゃんと言えるぐらい鑑定もやっています。何故取得したのかというと、コーヒー屋としての自信をつけるためです。
── Qグレーダーをご夫婦で取得しているのは少数とお聞きしました。
栗嫁:以前聞いたときは国内に2、3組とのことでした。
店主:いて2、3組とか。今、どうなんでしょうね。
栗嫁:今はわからないのですけど、夫が取得した時は資格者が300人を超えていたのですが、3年に一回更新試験があってコロナの影響もあり今は200人いないようです。熱海と神戸で取得できるのですが、神戸は海外の講師をお呼びしていたので今はコロナでストップしています。熱海は日本人の講師で開催していますが、試験がなかなか厳しいので資格更新できずにQグレーダーが減少しています。
── かなり狭き門ですね。
栗嫁:今厳しいですね。一発合格も今年は出ていないようです。
── コーヒーに関わる資格としては高位にあるものだと思うのですが、なぜ知名度が低いのでしょうか?
栗嫁:おそらく、日本はコーヒー消費国なので生産国がメインになる資格だと思います。
店主:試験の内容が公表されていないこともあると思います。
栗嫁:広めるに広められないですね。
── 試験対策も行ってみないとわからないということでしょうか?
店主:最近では小出しでちょこちょこ出てきているようです。取得しようとした際にインターネットでQグレーダーを調べてみてもどういう試験をやるか出てこなかったです。
栗嫁:対策ができていないから行ってみても一発で合格が難しいです。
店主:受けに行くと、内容は他に口外するなと口止めされるのでこれは広がらないなと(笑)
栗嫁:マイスターとかはコーヒーではなくてもお米マイスターとかあるので、すごいのかなと想像がつくのですが、Qグレーダーだとコーヒーと入っていないので何の資格かもわからない。コーヒーQグレーダーとか付いていたらまた違うのかもしれません。
── コーヒー豆の国際的鑑定資格、あくまで鑑定なんですね。
栗嫁:そうなんです。世界に通用する鑑定士なんです。
店主:鑑定士なので広がらないですね。マイスターとかインストラクターだと人に教えるとかなので、Qグレーダーは人に教えるものではないので。
── Qグレーダーはコーヒー豆の提供の前段階の役割ですね。
栗嫁:そうです。
── Qグレーダー資格を取得してよかったことはありますか?
栗嫁:コーヒー豆を個人で輸入している方と話していて欲しい豆があり、商社さんに連絡したところQグレーダーだとわかるや無償でいただけたりというところは得をしました。ぜひ、感想を聞かせてほしいと。
店主:鑑定するコーヒー豆の世界基準があって、焙煎も世界の基準があるのですがそれを学んだので焙煎の腕が上がりました。自分で豆を買うときの選定基準が向上した点は取得してよかったです。
ローストのレベルの違う豆を覚えるので、コーヒー屋さんに行って違いがわかるようになりました。Qグレーダーを知っているコーヒー屋さんでこっちがQグレーダーと知られると嫌な顔をされることもあります(笑)
栗嫁:自分たちで提供するコーヒーも判断することができるようになったので、今回のは出すのをやめようかとか(笑)
店主:自分で焼いて飲んでみて、この豆はこんなだったんだと思い、お客様に出せないなと判断したりもします。判定基準ができたので豆の新旧がわかるようになりました。
栗嫁:生の豆も虫食いとか欠点豆を全て取り除いて、それでスペシャルティコーヒーとか等級付けをされるのですが、それも自分たちで元々やっていたものとQグレーダーで学ぶもので違うものがありました。形の悪い豆はうちの店では取り除くのですが、Qグレーダーでは味に影響がないので取り除かなかったりと学びがありました。
── 当初のコンセプトは「家族連れで誰でも気軽に来れる」ということでしたが・・・
栗嫁:うちの今の客層が自転車のお客様が8割になりまして、コロナの影響もあり変わらざるをえなかったです。
コロナ渦で皆さん自粛されて、変わらず来店くださったのが自転車のお客様でした。
自転車の方はお一人で健康維持のためにサイクリングで遠くからいらしてくださってサクッとコーヒーを飲んで帰られるというご利用スタイルでした。
在宅の方が増えたのでコーヒー豆の購入のお客様もいらっしゃいました。
最初はごはんをお出ししていたのですが、ごはん目当ての方はコーヒーは要りませんという方もいらっしゃいました。コーヒーに特化してやっていきたかったので、ごはんは限定した方がいいと考えました。そんな時、世間でコロナウイルスがまん延し出してコーヒーのテイクアウトのみとしたところが転換点となったと思います。
店主:コロナになってから「こだわりの自家焙煎コーヒー専門店」というのが浸透してきたと思います。
店舗の立地の決め手
── なぜこの場所にお店を決めたのでしょうか。
店主:空いたスペースがあったから・・・
栗嫁:実家の敷地内・・・
── 別の場所に開店することは検討されなかったのでしょうか?
栗嫁:その時は考えていなかったです。
店主:測量なんかでお金がかかったので、他で間借りした方が安かったかもしれないです(笑)
栗嫁:立地としては結果的に自転車の方がすごく寄りやすい場所なようで棚ボタ的なラッキーでした。
店主:自転車の方が多く訪れてくれるという、想定外のいい方向にコケたのでよしとしました。口コミとかTwitterでどんどん広がっていったので助かりました。